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2026.6.292026.6.29
長期脱炭素電源オークションとは?仕組みや企業の再エネ調達への影響を徹底解説

長期脱炭素電源オークションとは?仕組みや企業の再エネ調達への影響を徹底解説

  • 長期脱炭素電源オークションとは?
  • カーボンニュートラルと安定供給の両立
  • 従来の容量市場との違い
  • 落札の仕組みとお金の流れ
  • 対象となる脱炭素電源
  • 直近のオークション結果と今後の予定
  • 第3回までの落札結果の振り返り
  • 今後のロードマップと目標
  • 企業に与える影響とデメリット
  • 電気代負担増のリスク
  • 再エネ調達市場への影響
  • コストを抑えて脱炭素電力を調達する方法
  • リバースオークションとは?
  • 企業がリバースオークションを利用するメリット
  • 他の調達手段との使い分け
  • リバースオークションを活用するステップ
  • まとめ:最適な再エネ調達戦略を

長期脱炭素電源オークションとは?

この章では、長期脱炭素電源オークションがなぜ生まれたのか、そして従来の仕組みとどう違うのかという全体像を整理します。国の狙いや資金の流れを知ることで、この制度が社会に与えるインパクトの大きさが掴めるはずです。

カーボンニュートラルと安定供給の両立

長期脱炭素電源オークションは、地球環境に優しい社会の実現と、いつでも電気が使える安心感を両立するためにスタートしました。

太陽光や風力といった再生可能エネルギーは、天候によって発電量がバラバラです。そのため、電気が足りない時にサッと動かせる蓄電池や、クリーンな燃料を使う新しい発電所が欠かせません。

例えば、真夏に風が止まり太陽も雲に隠れた時、エアコンの需要に耐えるためには強力なバックアップ電源が必要です。

しかし、こうした新しい発電施設を作るには、数千億円という途方もないお金がかかります。企業単独ではリスクが大きすぎて手を出せないため、国が主導して長期間の収入を約束し、建設を後押しする仕組みを作りました。

確かに「国が税金や電気代を使ってまで企業を助ける必要があるのか」という厳しい声もあります。ですが、ここで投資を渋れば、将来深刻な電力不足に陥るリスクが高まります。

新しい発電所が必要とされる具体的な理由は以下の通りです。

  • 再生可能エネルギーの弱点である天候リスクをカバーするため
  • 老朽化した火力発電所を休廃止し、新しい設備に置き換えるため
  • 2050年の温室効果ガス排出ゼロという国際的な約束を守るため

出典:資源エネルギー庁「長期脱炭素電源オークションについて」

経済産業省「第7次エネルギー基本計画」(2024年策定)  

従来の容量市場との違い

これまでも、電力不足を防ぐために「容量市場」という仕組みがありました。これと今回の新しいオークションの最大の違いは、国が収入を約束してくれる「期間の長さ」です。

既存の容量市場は、今ある発電所を来年も動かせるようにするための制度であり、支払われる期間は原則1年間だけです。

一方で長期脱炭素電源オークションは、これからゼロから作る発電所に対して、なんと原則20年間もの長きにわたって決まった金額を支払い続けます。

ただし、20年間という長い約束を結ぶ分、発電事業者には途中で逃げ出さず、しっかりと電気を供給し続ける重い責任が伴います。

両制度の違いをわかりやすく表にまとめました。

項目

従来の容量市場

長期脱炭素電源オークション

支援の期間

原則1年間

原則20年間

主な対象

すでに動いているあらゆる発電所

これから作るクリーンな発電所

制度の目的

今の電力を切らさないこと

未来のクリーンなインフラを作ること

容量市場に関しての詳しい解説はこちら

落札の仕組みとお金の流れ

このオークションは、電力広域的運営推進機関(OCCTO)という組織が運営しており、「マルチプライス方式」というルールで落札者が決まります。

参加する企業は「毎年〇〇円もらえれば発電所を作ります」と希望額を出し、安い金額を提示した企業から順番に選ばれていく仕組みです。

例えば、A社が100億円、B社が150億円で入札した場合、安いA社から選ばれ、A社には希望通り100億円が支払われます。一番高い落札者に全員の金額を合わせるルールよりも、国全体で支払うコストを安く抑えられます。

この時、選ばれた発電企業に支払われる巨額のお金は、最終的に私たちが払う電気代から集められます。「容量拠出金」という名目で、電気を販売する小売電気事業者からOCCTOが徴収していきます。

「また電気代が上がるのか」と気が重くなりますが、これは将来の停電を防ぐための社会全体の保険料とも言えます。

お金がどのように動くのか、ステップを確認しておきましょう。

  • 小売電気事業者がOCCTOに容量拠出金を支払う
  • OCCTOがそのお金を一つにまとめる
  • 選ばれた発電企業に、OCCTOから20年間にわたり定額が支払われる

出典:OCCTO「容量市場・長期脱炭素電源オークション 業務規程」 

容量拠出金に関して詳しくはこちら

対象となる脱炭素電源

オークションに参加できるのは、温室効果ガスを減らすことに貢献できる特定の設備だけです。

具体的には、余った電気を貯めておく巨大な蓄電池システムや、燃やしてもCO2が出ない水素やアンモニアを使った発電所が該当します。

例えば、九州地方では太陽光パネルが増えすぎて昼間に電気が余ってしまうことがあります。ここに巨大な蓄電池があれば、余った電気を貯めておき、みんなが電気を使う夜間に放出することができます。

また、完全に新しい発電所を作るだけでなく、今ある古い火力発電所を改造してCO2を減らす工事(脱炭素化改修)も支援の対象です。ただし、完全にCO2をゼロにできない化石燃料の設備は、あくまで新しい技術が普及するまでの「つなぎ」という厳しい位置付けです。

オークションの対象となる主な設備は以下の通りです。

  • 再生可能エネルギーを無駄なく使うための系統用蓄電池
  • 次世代のクリーンエネルギーである水素・アンモニア発電
  • CO2排出を減らすための最新型LNG(液化天然ガス)火力発電

直近のオークション結果と今後の予定

制度はすでに動き出しており、数千億円規模のプロジェクトが次々と決まっています。この章では、これまでの落札結果を振り返り、今後日本がどのようなスケジュールで脱炭素を進めていくのかを確認します。

第3回までの落札結果の振り返り

2024年1月に初めての落札結果が公表されて以降、オークションは回を重ねています。

直近の第3回オークション(2025年度応札分)では、クリーンな脱炭素電源として約426万kW、そして過渡期の電源であるLNG専焼火力として約304万kWが落札されました。

出典:https://www.occto.or.jp/market-board/market/chouki_datsutanso/2025/2025_chouki_datsutanso_kekka.html

例えば、一般的な原子力発電所1基分が約100万kWと言われているため、合計で原発7基分以上の新しい発電施設が確保された計算になります。これは日本のエネルギー政策において非常に大きな一歩です。

気になるのはLNG火力の扱いです。当初は最初の3年間だけの特例措置でしたが、水素などの技術がまだ追いついていないため、第4回以降も当面の間は募集を継続する方針が固まりました。理想と現実のバランスを取るための苦渋の決断と言えます。

出典:https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/

これまでのオークション結果から見える傾向をまとめました。

  • 大型蓄電池のプロジェクトが順調に数を伸ばしている
  • 水素やアンモニアの実用化にはまだ時間がかかることが明白になった
  • 当面は、最新のLNG火力を頼らざるを得ない現実がある

今後のロードマップと目標

国は行き当たりばったりではなく、中長期的な計画を持ってオークションを進めています。

目標として、2050年までに電力部門の脱炭素化を完了させる計画を立てています。そのためには、今後も毎年コンスタントにオークションを開催し、新しい電源を少しずつ増やしていく必要があります。

例えば、最初は準備運動のようにLNG火力などを混ぜながら走り出し、後半に向けて一気に水素や完全な再生可能エネルギーへ切り替えていく作戦です。

とはいえ、建設資材の高騰や人手不足によって、落札した企業が途中で計画を諦めてしまうリスクも十分にあります。国は定期的に進捗をチェックし、ペナルティを含めた厳しい管理を続けていくことになります。

今後の制度運営における重要なチェックポイントは以下の通りです。

  • 落札された発電所が、予定通りに建設を開始できるか
  • 水素やアンモニアの調達コストがどこまで下がるか
  • 次回のオークションで、どの電源にどれだけの予算が割かれるか

企業に与える影響とデメリット

国が主導して発電所を作る裏で、電気を使う側である企業にはどのような影響があるのでしょうか。この章では、制度がもたらす「電気代への跳ね返り」と、再エネ調達市場の変化というシビアな現実を解説します。

電気代負担増のリスク

企業にとって最大のデメリットは、オークションのツケが「電気代の上乗せ」として回ってくる可能性が高いことです。

発電企業に支払われるお金は、電力会社が負担する「容量拠出金」から出ています。電力会社もボランティアではないため、この拠出金の負担分は、法人が契約している高圧電気などの料金プランに上乗せされるのが自然な流れです。

例えば、毎月の電気代が数百万円規模になる工場や大型商業施設にとって、基本料金や電力量料金が数パーセント上がるだけでも、年間では数百万円の痛手になります。

「これ以上コストが上がっては商売にならない」と頭を抱える経営者も多いはずです。確かに厳しい現実ですが、これを機に自社のエネルギー契約を根本から見直す良いきっかけにもなります。

キューエネスの法人電力では1年単位で電気代を決定する、「固定単価プラン」があります。不安定な情勢かつ変動の多い制度に対して1年の見通しが立つという点で事業の成長に寄与できます。

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電気代アップに備えて企業が意識すべきことは以下の通りです。

  • 契約している電力会社の料金改定のニュースにアンテナを張る
  • 自社の電力消費のピーク時間をずらし、基本料金を下げる工夫をする
  • 複数の電力会社から定期的に見積もりを取り直す習慣をつける

再エネ調達市場への影響

オークションによってクリーンな電源が増えることは、環境意識の高い企業にとって追い風になる側面もあります。

近年、大企業を中心に「自社で使う電気はすべて再生可能エネルギーで賄う」という目標(RE100など)を掲げるケースが増えています。オークションで蓄電池や新しいクリーン電源が増えれば、市場に出回る環境価値(非化石証書など)の量も増え、将来的に調達しやすくなる可能性があります。

例えば、これまでは太陽が出ている昼間しか「再エネ100%」を名乗れなかった企業が、蓄電池の普及によって、夜間も含めた24時間365日のカーボンフリー(24/7カーボンフリー)を実現しやすくなります。

ただし、新しい技術が広く普及して価格が下がるまでには数年単位の時間がかかります。それまでは、限られた再エネ電力をめぐって企業間の争奪戦が続くことになります。

再エネ調達市場に起こりうる変化を整理しました。

  • 市場に出回るクリーンな電力の選択肢が少しずつ増えていく
  • 蓄電池の活用により、夜間でも再エネとしてカウントしやすくなる
  • 大企業だけでなく、中小企業にも再エネ調達の波が押し寄せる

コストを抑えて脱炭素電力を調達する方法

電気代の負担増が懸念される中、状況をただ静観するわけにはいきません。この章では、企業が自ら動いてコストを削りながら、クリーンな電気を手に入れる具体的な対抗策を紹介します。

リバースオークションとは?

電気代を賢く下げる手法として今注目されているのが「リバースオークション(競り下げ方式)」です。

これは、電気を買いたい企業(需要家)に対して、複数の電力会社が「うちならこの価格で提供します」と価格を競い合い、どんどん値下げをしていく仕組みです。ヤフオクなどの通常のオークションとは逆で、価格が下がっていくのが特徴です。

例えば、A社が「キロワットあたり20円で出します」と言えば、B社が「うちは19.5円で」と応戦し、最終的に一番安い価格を提示した電力会社と契約を結びます。

民間が運営するプラットフォームを使えば、ネット上で簡単にこの競争を起こすことができます。「安い電力会社を探す手間が省ける」と、多くの法人が導入を始めています。

リバースオークションの主な仕組みは以下の通りです。

  • インターネット上で複数の電力会社が同時に見積もりを出す
  • 制限時間内に、各社が他社の価格を見ながらさらに値下げを行う
  • 企業は最も条件の良い電力会社を客観的なデータで選べる

企業がリバースオークションを利用するメリット

法人がこの仕組みを使う最大のメリットは、相見積もりの手間を大幅に減らしながら、最安値を見つけ出せることです。

通常、電力会社を切り替えようとすると、各社の営業マンと何度も打ち合わせをし、バラバラのフォーマットの見積書をエクセルで比較するという膨大な事務作業が発生します。

しかしリバースオークションなら、過去の電気料金データなどをシステムに一度登録するだけで、複数の会社から同じ条件で揃った見積もりが一斉に届きます。総務やファシリティ担当者の業務時間を大幅に削ることができます。

さらに、ただ安いだけでなく「実質再エネ100%のプラン」に絞って入札をかけることも可能です。これにより、コスト削減と脱炭素化という、一見矛盾する2つの課題を同時にクリアできる可能性があります。

企業が得られるメリットをわかりやすく表にしました。

メリットの種類

具体的な効果

コストの大幅削減

競争原理が働き、足元の電気代を適正価格まで引き下げられる

業務の手間削減

営業担当との面会や、複雑な見積もり比較の作業が不要になる

環境価値の向上

条件を指定することで、再エネ100%のクリーン電力を手軽に調達できる

他の調達手段との使い分け

もちろん、オークションだけが唯一の正解ではありません。自社の敷地に余裕があるか、どれくらい本気で環境対策に取り組むかによって、最適な手段は変わってきます。

例えば、工場の広い屋根が空いているなら、初期費用ゼロで太陽光パネルを設置してもらう「オンサイトPPA」という手法が非常に有効です。自分たちで作った電気を使うため、外から買う電気を劇的に減らせます。

一方で、テナントビルに入居しているオフィス企業や自社スペースを活用する余地のない企業にはフィジカルPPA(オフサイトPPA)といった方法があります。

フィジカルPPAは企業が太陽光などの再エネ発電事業者から、電気と環境価値をセットで購入する契約になります。

初期費用のリスクを回避しつつ、長期的な企業価値を高めたい企業におすすめの導入方法になります。

エネブリッジでは、長期契約の多いフィジカルPPAとは対照的に、最短1年の短期から手軽に始めることができる上に、1年の事業計画の見通しが立てやすく、情勢変化にも強い固定単価プランとのセットプランをご用意しています。

固定単価とPPAのセットプランについてはこちら

また、PPAとは別に、リバースオークションでクリーンなプランに切り替えたり、「非化石証書」という環境価値だけを後から購入したりする手法も存在します。

「どれを選べばいいかわからない」という場合は、エネブリッジのような電力会社に相談し、自社の状況に合ったセットプランを提案してもらうのが一番の近道です。

代表的な調達手段の違いは以下の通りです。

  • リバースオークション:電力調達コストを下げたい企業向け
  • オンサイトPPA:自社の敷地が広く、長期的に電気代を固定したい企業向け
  • フィジカルPPA(オフサイトPPA):自社スペースはないが、設備投資ゼロで長期的な価値を高めたい企業向け
  • 非化石証書の購入:今の電力契約を変えずに、環境対応の実績だけを作りたい企業向け

リバースオークションを活用するステップ

実際にプラットフォームを使ってみたいと思った方へ、導入までの具体的な手順を解説します。複雑な手続きは必要ありません。

まずは「過去1年分の電気料金の明細」を用意します。これがないと、電力会社も正確な見積もりを出せません。

次に、信頼できるリバースオークションのサービスに登録し、自社のデータと「再エネ比率〇〇%を希望」といった条件を入力します。

入札が完了すると結果が一覧で表示されるため、社内で比較検討を行います。確かに「今まで付き合いのあった電力会社を切るのは心苦しい」という声もよく聞きますが、ビジネスとしてシビアにコストを評価する勇気も必要です。

無事に新しい電力会社が決まれば、あとはシステム上で契約の切り替え手続きを進めるだけです。

導入までの4つのステップは以下の通りです。

  • 過去の電気使用量や料金のデータ(明細書など)を準備する
  • プラットフォームに登録し、希望する条件を設定して入札を開始する
  • 提出された見積もり結果を客観的に比較・検討する
  • 条件の合った電力会社と新しい契約を結び、切り替えを完了させる

まとめ:最適な再エネ調達戦略を

長期脱炭素電源オークションは、将来のクリーンなインフラを作るために必要な制度ですが、その裏で企業には電気代上昇というリスクが迫っています。マクロな市場の変化を理解しつつ、自社の身を守るための行動が求められます。

足元の電気代削減と環境対策を両立させるために、リバースオークションやPPAといった民間のサービスを賢く使い分けましょう。


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